さなよくあさまさのブログ

なにやら雑に色々書いてます。

望月

昨日の深夜、寝付けなかった私は散歩に行くことにした。夜風は冷たかったので箪笥から出したばかりパーカーを羽織ったたら、もう冬なんだと実感して少し寂しく感じる。あるいは元々寂しい気分だったから寝付けなかったのかもしれない。

アパートを出るとちょうど目の前の道を車が通った。丑三つ時に帰宅か、それとも遊びに行くのか。住宅街だから通りがかったというわけでもないだろう。

ふと、蛍光灯の光と人影に気づいた。私のアパートのすぐ近くには新聞の販売店があり、その店の前で煙草を吸っている女の人がいるのだ。視力の弱い私でもタバコの煙が見える。よっぽど疲れているのか私が目の前を通ろうとしても反応がないので心の中で「お疲れ様です」と呟きながらその横を通り抜けた。

街路樹の葉、ガードレールの落書き、アスファルトの小石。なんだか夜だというのに色々なものが目に入る。夜はこんなに明るかっただろうか。街灯はあり、コンビニは開いていて、駐車場も灯りがついている。文明である。街灯を見上げれば、その後ろにも光があることに気がついた。

星と並んで夜道を照らす冬の満月だ。

その時には月は中天にまるで星空の女王の如く君臨し、他の星々を従えていた。

澄んだ夜空ははっきりと満月を輝かせ、その横を従者のように並ぶ、たぶん木星か惑星もはっきりと見える。少し夜空を見渡せば街中にしては星が点々と見えた。

おそらくは一等星しか見えていないのだろうけど、オリオン座だけはなんとか全ての星が見える。というか正座に知識が無さすぎて知っている星座はそれだけだから、もしかするとオリオン座の南にあった星の並びも星座だったのかもしれない。

夜空を眺めながら歩いていたら、足を引っ掛けて転びかけた。井戸に落ちた古代の哲学者の二の舞になりそうだったので、仕方なく前と道を見ながら歩き出す。目的は天文観測ではなく散歩だ。深夜の散歩にはルートを気にしなくてはならない。できる限り街灯がある道をコンビニがある道を。暗い道は何が起こるかわからないのだ。

大きな道に出ると数台に車が通っていてやはり夜でも動く人はいるのだなと感慨に耽っていると、車道を挟んだ向こう側から大音量のラップが聞こえた。3人の青年がスマホで聞いているようだった。彼ら自身もノリノリでラップを口ずさんでいる。遠くからも調子はずれな声で「カエルの歌」を歌っている声がする。そういえば近所に居酒屋があった。つまりはこの道は愉快な輩がよくよく通るのだ。

なんだか愉快な輩を見るとなんだか自分もそういう気分になりたくなったのでローソンに入り、お酒を買うことにした。檸檬堂である。ついでにおにぎりとシチューパイも買った。欲望のままである。そして近所の公園のベンチに座り1人宴である。酒の力は偉大でどうにもフワフワしてきた。歌い出しはしなかったが少し踊り出したと記憶している。

あと初めてローソンのビーフシチューパイを食べたが驚くほどの美味しさだった。まず、シチューが美味しい。肉がやわらかく美味い。味もしっかりしていてパイ生地をガポガポと砕いてシチューに入れて食べると丁度いい味だった。オススメ。

なんだかお腹が温かくなり、気分も良くなったのでその日の散歩は終わり、帰ることにした。時刻は午前3時ごろ。丑三つ時も終わったので今帰ってもいいだろうと思ったのだ。

夜の散歩もたまにはいいかもしれない。コンビニのご飯もいい。