さなよくあさまさのブログ

なにやら雑に色々書いてます。

十七夜

読み方がわからないが、おそらく存在するであろう言葉。今日の月は満月の次の次の日であった。昨日の十六夜はときに満月より美しいとも言われているが十七夜となると流石にルクスが足りないとも思われる。

電気発明以前では月光は夜を照らす数少ないものであり、満月の日以外は出歩いてはならないと言われてたそうだから月光は驚くほど明るかったのだろう。人狼が正体を表してしまうのも魔力というより月の明るさ、その美しさに惹かれてしまうのかもしれない。

私が好きな小説にオスカー・ワイルドサロメ』がある。冒頭、王妃の侍従が月を「まるで狂った女のよう」といって不穏な影を感じる。そして実際に若い隊長、洗礼者ヨカナーンサロメが死ぬことになるのだ。なんとなく、この月は十七夜ではないかと考えていた。満月は明るすぎて不穏さがない。三日月は細くて繊細すぎる。新月は暗すぎて不穏どころではない。そうすると欠けはじめた十七夜が適当なように思われる。

ところで十七夜の今日、私ははじめてチーズ牛丼というものを食べた。Twitterなどで「チー牛」という言葉を見たことがあったので、食べてみたいと常々思ってたのだがそも牛丼を食べる機会が少なくすき家吉野家の区別もついていなかったので実物を見たことも無かった。不穏な影をはらむ十七夜に、友人たちとすき家へ入った私は介護を受ける老人のように注文の仕方を教えてもらったときに目に入ったのがチーズ牛丼。これがファーストコンタクト。吸い込まれるように注文をした。

タバスコが付いてくることは実物が届いてから知ったが、牛丼という和のものに洋風な調味料が付いてくることに驚き思わず「かけてもいいのか」と呟けば隣から「お好みで」と返答され気恥ずかしくなった。

食べ終わってからチーズの煌めきと十七夜の煌めきは似ていると思われた。

今日から私にとっての十七夜は『サロメ』ではなくチーズ牛丼であるかもしれない。それを良いとも悪いとも分からないが、ひとまずすき家にはまた行きたい。月見すきやき牛丼があるうちに